こんにちは。いーちゃです。
本記事では、倉原優氏の著書「ねころんで読める呼吸のすべて: ナース・研修医のためのやさしい呼吸器診療とケア」について紹介します。
実際に呼吸器急性期病棟での勤務経験がある筆者が読んで、とてもためになったと思いました。
倉原優医師について
国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科医師。滋賀医科大学医学部卒。洛和会音羽病院臨床研修医を経て2008年より現職。日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医、日本感染症学会感染症専門医、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本結核・非結核性抗酸菌症学会結核・抗酸菌症認定医・指導医、インフェクションコントロールドクター
『ポケット呼吸器診療 2021』より
現在も臨床でご活躍されている医師です。
医療者向けのブログ執筆もされています。著書と同様に大変分かりやすい内容です。
ブックマークしておくとサクッと読めて良いですよ。
本の概要
「体位ドレナージに根拠はあるの?」。
看護ケアの素朴なギモンから、「世界一簡単な胸腔ドレーンの原理」といった研修医必見の知識まで、日常のケア・診療で明日から使える目からウロコのエッセンスが満載!
楽しい4コマ漫画つきで、100分でパッと読めて日々の業務ですぐに「違いを出せる」一冊。
他の参考書とどう違うか?レビュー
私が一番違いを感じたのは、以下の3点です。
- データ+現場の実際をあわせて書いている
- 仕事中ふと頭によぎって、忘れてしまうような日々の疑問を解決できる
- よくある現場を解説している
教科書や他の参考書では、データを詳しくは書いていても実際どうなのかまで言及していることは少ないです。
参考書を読んでも、学生や1年目だと、どう行動に移せばいいのか分からないことが多いと思います。
学習したことが看護に結びつかないという現象です。
この本では、実際の場面→解説となっている章も多いです。状況を想像しながら読み込むことができ、看護に活かせると感じました。
たとえば、ある章ではこんな会話が紹介されています。
ナース「〇〇さんのSpO2が89%なんですけど、酸素開始した方がいいですよね?」
リーダーナース「約束指示は90%未満で酸素開始ってかいてあるから、そうした方がいいわね」
「ねころんで読める呼吸のすべて: ナース・研修医のためのやさしい呼吸器診療とケア」
このあと詳しく、酸素投与指示や酸素療法の解説が入ります。
他にも、吸引のタイミングや、体位ドレナージやタッピングのエビデンスや方法など…今さら人に聞けないようなこともたくさん書いてあります。
あと、私が個人的に好きなのは、患者さんが安心感や満足感を得られるなら、必要がなくてもやるべきという心持ちです。
たとえば慢性期の患者に毎回の診察で聴診器を当てる必要はないが、患者さんが安心感を得られるならするべきだとか。
データやエビデンスはもちろん大切ですが、患者さんファーストであるという基本を思い出させてくれます。
もちろん業務が煩雑すぎてかなわないこともありますが…
おすすめポイント
この本のおすすめポイントは以下の3点です。
- 1つの項目が短い
- 豊富な挿絵と漫画
- 基本的なことがバッチリ入っている
1つの項目が短いことで、疲れていても「ちょっとだけ読もう」と本を手に取ることができます。
私に一番合っていたのはこの点で、残業でクタクタになっていても構えずに読めます。
また、挿絵や漫画も豊富で呼吸器への苦手意識を払拭してくれます。
この本を読んだ人は、「これ以上ひけないギリギリのラインまでそぎ落とした入門書で、本の作り方としては実はかなり高度なことをやっている」と評しています。
呼吸器について知りたいけど、何から始めよう?勉強したいけど時間がない…そんな人にオススメの一冊です。
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