看護師のやばいインシデントの事例&対処法

仕事が辛いナース向け

こんにちは、いーちゃです。

今回は、実際に筆者が起こしたことのあるインシデントと、その対処法をご紹介します。

インシデントを起こすと、「辞めたい」「向いていない」と思ってしまいます。

しかし、しっかり対策さえできれば同じミスを起こす確率は下がります。

起こしてしまったことは無しにできないので、ぜひ本記事を参考に対策を講じてください。

最後に筆者流の立ち直り方も紹介しています。

インシデントが起こりやすい看護場面

厚生労働省の医療事故情報収集等事業によると、インシデントの発生場面では、処方・与薬が最も多く、次いで、チューブ類の使用・管理、療養上の世話、療養生活の場面が多かったと分析しています。

内容は、人工呼吸器を使用する場面での点検管理エラーが多いこと、移動中や排泄介助時の転倒がおおいとのことです。

転倒が起きないように、安全対策をするのは看護師仕事です。しかし、どうしても患者さんが自分で動いて転倒してしまうこともあります。現実的にすべて予防するのは難しい印象です。

どうしても新人時代はインシデントが多い

厚生労働省より抜粋

職務になれず、わからないことも多い1年目はミスを起こしがちです。

「ミスを起こしやすいんだ」と、いつも以上に慎重になるだけでも、本当にミスが減ります。

実際筆者が起こしたインシデント&対処法

それでは実際に、筆者が起こしたやばいインシデントの事例と、対処法についてご紹介します。

インスリンの種類を間違えて投与

糖尿病で、血糖チェックが朝・昼・夕・眠前の4検ある患者さんでした。

高血糖時は、スケール対応(血糖値によってインスリンを投与)でした。

眠前の血糖値が高く、スケールに引っかかったので、インスリン投与の指示がありました。「ヒューマリンN」を投与の指示です。

私は「ヒューマリンR」を患者さんに投与、すぐに間違いに気づきました。

どうして起こったか?

当時1年目で、ヒューマリンにRとNの2種類があることを知りませんでした。

先輩とのダブルチェックはしましたが、先輩も気づきませんでした。

なぜ危険なのか?

ヒューマリンNとRは、以下の表のような違いがあります。

ヒューマリンRヒューマリンN
作用発現時間
30分~1時間
最大作用時間
1~3時間
作用持続時間
5~7時間
作用発現時間
約1.5時間
最大作用時間
4~12時間
作用持続時間
約24時間
ヒューマリンRとNの違い
ヒューマリンRの効き方
ヒューマリンNの効き方

ヒューマリンRを誤って投与したことで、低血糖を起こしてしまったかもしれません。

幸い、この時は患者さんに大きな影響はありませんでした。しかし、朝まで何度も血糖測定や低血糖症状の確認に訪室し、負担をかけてしまいました。

対処法

インスリンについて勉強するのも一つです。ただ、すべての薬を網羅して覚えるのは不可能だと思います。

同じような名前でも、薬効や作用時間が異なること、自分がそれをわかっていない可能性があるのを自覚することが大切です。

そうすることで、確認がより慎重になります。

インシデントの発生要因では、6割以上が確認不十分によるものです。確認をしっかりするだけで6割のインシデントがなくなるのです。

点滴投与忘れ

1日3回の抗生剤の投与を忘れました

どこの病院でも、大体同じ時間に点滴の時間が割り振られていると思います。

しかし、初回の場合は時間が不規則になることもありますよね。

この時も、緊急入院の患者さんで不規則な時間での投与でした。

どうして起こったか?

原因としては、確認不足があげられます。

ワークシートに点滴の投与時間を記入していたのですが、そのワークシートを確認していませんでした。

メモを取ったが、そのメモを確認するのを忘れているパターンです。

なぜいけないのか

抗菌薬を使用するうえで、重要な概念があります。それは、最高血中濃度(Cmax)と最小発育阻止濃度(MIC)です。

最高血中濃度は、薬剤を投与し、血液中で最も薬の濃度が高くなった地点です。抗菌薬の効果が最も強く出る濃度ともいえます。Cmaxに到達すると、時間経過とともに徐々に腎臓や肝臓で代謝され、血中濃度が下がっていきます。

次に、MICです。これは、この血中濃度以上あれば抗菌薬の効果はあり、菌の発育を阻害することが可能です。MIC以下の時間が継続すると、十分な抗菌薬の効果が得られません。抗菌薬のCmaxで殺菌をし、その後MICを維持して増殖を抑制することが正しい抗菌薬の使用方法につながります。

https://kango-oshigoto.jp/hatenurse/article/2403/

つまり、やっつけようとしている菌がまた増えてしまうということです。

対処法

タイマーを使う

私は本当に忘れっぽくて、マルチタスクの苦手な人間です。

メモをしてもメモをしていたことすら忘れます。

ですので、その時間に合わせてタイマーを使用し〇〇し忘れを防止しています。

内服投与間違い

Aさんの薬を、Bさんに投与しました。

内服薬でした。幸い大きな効果のある薬はなかったので、事なきをえました。

どうして起こったか?

完全なる確認不足です。

夜勤で、深夜帯の朝で意識もうろうとしていました。

なぜ危険なのか

これは言わずもがな、もしも降圧薬や血糖降下薬などがあれば大事件になります。

患者さんには申し訳ないことをしてしまいました。

対処法

確認の徹底しかありません。

人がどのタイミングでミスをしやすいのか知っておくことも重要です。

院内でも、インシデント報告をまとめたものがあるはずです。それを定期的に確認するだけでもミスの予防につながります。

もしも自分が・・・。と思うと肝が冷えますよ。

ミスをしやすい条件

発生時間

10~11時は、業務開始後で一番忙しい時です。12~13時は、昼休憩の交代で手薄になります。

当然ですが、忙しいとミスをしやすくなります。

ミスをしやすい場面

ミスが起こりやすい場面では、処方・与薬がダントツ1位になっています。

筆者が紹介したミスも与薬絡みばかりでしたよね。

「いま、自分はミスをしやすいことをしている」と思うだけで、インシデントの予防になります。

どうすれば立ち直れるか

仕事でした失敗は、仕事でしか癒せません。

もう同じミスをしないように対策、勉強するしかありません。

優しい先輩に失敗談を聞くのもいいですよ。「こんな素敵な先輩でもミスするんだなあ」と思えます。

どうしても、そこまで気持ちが向かないときは、好きなことをしましょう

筆者は、お気に入りのスーパー銭湯→お菓子大量買い→ゲーム三昧で心を癒していました。

すぐに心の傷は癒えないけれど、引きずるとミスをまねきます。さっさと気持ちを入れ替えることがみんなのため。

しっかり反省したら忘れましょう。

おわりに

紹介するのも恥ずかしいくらいのミスばかりです。

もちろん、この3件以外にもいろいろとやらかしています。

ミスをすると、「患者さんを大変な目に遭わせたかもしれなかった。危害を加えてしまう前にやめよう」と思ってしまいます。

でも、失敗せずにベテランになった看護師は一人もいません。

しっかり反省したら、しっかり(嫌な気持ちを)忘れる。前に進みましょう。

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