看護師としての役割は多岐にわたりますが、その中でも特に難しい任務の一つが、患者やその家族にバッドニュースを伝えることです。
この記事では、看護師がバッドニュースを適切に伝えるための手法と、その際に必要な感情的サポートについて詳しく解説します。
1. 準備
バッドニュースを伝える前には、詳細な情報を十分に理解し、患者やその家族が尋ねる可能性のある質問に答えられるように準備します。
必要に応じて、医師や医療チームと協力して情報を共有し、一致したメッセージを伝えることが重要です。
例えば、予後が短いことを伝える場合。
最期をどこで過ごすことができるのか？受けられる福祉・医療サービスなどについて予め調べておきます。
2. 適切な環境
バッドニュースは、できるだけプライバシーが確保された、落ち着いた環境で伝えるようにします。
これは患者の安心感を保つため、そしてその感情を尊重するためです。
また、個人情報を守るという意味があります。
3. 思いやりのある伝え方
慎重さと思いやりを伝えるために、「あなたにとって厳しいニュースを伝えなければならない」という導入フレーズを使用することを推奨します。
そのあとに、これはあなたのことを真剣に考えた結果、伝える必要があると判断したと付け加えると良いです。
4. 明確に伝える
医療用語や専門用語を避け、平易な言葉で伝えることが重要です。
誤解を避けるため、具体的かつ明確に伝え、相手が理解できるように努めます。
受け取り手によって、雰囲気の感じ方が変わるため、同じ意味の違う言葉を繰り返すことも効果的です。
5. 感情の理解と共感
ニュースを伝えた後の患者やその家族の反応に対しては、共感を示し、感情を受け入れます。
それぞれが情報を消化するスピードは異なり、そのプロセスを尊重することが重要です。
有名なところでは、キューブラロスの死の受容過程というプロセスがあります。
一度復習されるとしっかり対応できると思います。
6. サポートを提供する
治療の選択肢や今後のケアプランなど、可能な限り具体的なサポートを提供します。
また、心理的なサポートも提供し、必要に応じて心理カウンセラーや社会福祉士等の専門家への紹介も行います。
7.会話の例
以下の例は、医師が患者にガンの診断結果を伝える際の会話例です。
医師（A）：「こんにちは、田中さん。今日は少しご相談があって、静かな場所でお話ししたいのですが、いいですか？」
ここで、患者は心の準備ができます。
患者（B）：「はい、大丈夫ですよ。」
A：「ありがとうございます。実は、あなたの診断結果についてお伝えしなければならない情報があります。これは、あなたにとって厳しいことかもしれません…」
解説:これから話すことは患者にとって厳しい内容であることを伝えています。
B：「何かありましたか？」
A：「残念ながら、検査結果からガンの診断が出ました。この結果は私たちも予期していませんでした…」
解説:患者の信じられないという気持ちに共感します
B：「ガン…本当ですか？」これからどうすればいいんですか？」
A：「今後の治療については、専門的な医師と一緒に詳しくお話しする時間を設けます。治療の選択肢もあります。私たちはあなたを全力でサポートします。いつでも相談に来て下さい」
B：「ありがとうございます…」
A：「田中さん、いつでも何でも話してくださいね。私たちは全力でサポートします。」
実際に看護師がバッドニュースを伝える場合は、医師のICのあとに予後が迫っている時、家族にそれを伝える時などがあてはまると思います。
患者さんに意識がなかったとしても、一旦病室から出るなど配慮が重要です。
8.まとめ
バッドニュースを伝える際は、準備、適切な環境の選択、思いやりのある伝え方、明確さ、感情への理解と共感、そしてサポートの提供、これらが看護師にとって必要となるスキルのセットです。
これらのコミュニケーションスキルは、患者やその家族が困難なニュースを受け止め、それに対処する助けとなります。
また、看護師自身が自己ケアを怠らないようにし、他のスタッフと協力することも、その心理的負担を軽減する上で重要です。
以上のステップを踏むことで、看護師としての役割を尊重しつつ、患者とその家族に対して最良のケアを提供することが可能となります。
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